Linux は多種多様のネットワークプロトコルをサポートします。
インターネットプロトコル( Internet Protocol )は、元々は米国国防省( DoD )用に 20年前に開発されたものです。 これは異機種コンピュータの相互接続が主な目的でした。 TCP/IP スイートの プロトコルは階層構造なので、アプリケーションをネットワーク用ハードウェアから 分離できます。
TCP/IP は階層的モデルを基本にしていますが、機能的階層に厳格に従うよりも実際に うまくつながることを重視しています。 このような理由により、ネットワークの相互接続プロトコルは OSI ではなく TCP/IP が事実上の標準となりました。
Linux は登場したときから TCP/IP ネットワーク機能を持っていました。 これはスクラッチから書き上げたものです。 これは最も頑強、高速で、信頼性が高い実装のひとつで、 Linux の成功の鍵の ひとつです。
関連する HOWTO : http://metalab.unc.edu/mdw/HOWTO/NET3-4-HOWTO.html (訳注: 和訳)
IPv6 は IPng ( IP Next Generation )とも呼ばれ、 IPv4 プロトコルで課題となって いた多くの点を改善する為のアップグレード版です。 IPv4 での課題とは、利用可能な IP アドレスの不足、時間に敏感なトラフィックを扱うメカニズムがない、 ネットワークレイヤでのセキュリティがないなどです。
より大きなアドレス空間を使うにはアドレス指定方法の改良が伴いますが、それは ルーティングの性能に大きく影響することになります。 Linux 用ベータ版の実装は既にあり、実用版は 2.2.0 の Linux カーネルリリースに 入ると予想されます。
IPX/SPX ( Internet Packet Exchange/Sequenced Packet Exchange ) は、 Xerox Network Systems (XNS) プロトコルを基本にして Novell が開発した プロトコル群で、所有権付きのものです。 IPX/SPX は 1980 年代初めに Novell, Inc. の NetWare で使われたプロトコルとして有名になったものです。 NetWare は第一世代 の LAN の network operating system (NOS) のデファクトスタンダードになりました。 Novell は自分の NOS に、ビジネス向けアプリケーション群とクライアント側での 接続ユーティリティとを付け加えたのです。
Linux は非常にクリーンな IPX/SPX が実装されており、設定により次のことに 使えます。
それに加えて、 Caldera は Linux での Novell NetWare を商用サポートしています。 Caldera は Novell 社からライセンスを 受けた技術を組み込んだ完全な Novell NetWare クライアントを供給しています。 このクライアントは Novell 3.x と 4.x のファイルサーバに完全にアクセス できますし、 NetWare ディレクトリサービス( NDS ) と RSA 暗号化機能なども あります。
AppleTalk は Apple のインターネットワーク技術の名前です。これはピアツーピアの ネットワークモデルで、ファイルとプリンタの共有などの基本的なことができます。 各マシンは同時にクライアントとサーバとにできますし、これに必要なソフトウェア とハードウェアはどの Apple コンピュータにも入っています。
Linux は、 AppleTalk ネットワークを完全に扱えます。 Netatalk は元々は BSD 系統 のシステム用だったもので、 AppleTalk プロトコルスイートをカーネルレベルで 実装したものです。 Netatalk を使って、 AppleTalk のルーティング、 Unix と AFS のファイルシステムの AFP ( AppleShare )上での提供、 Unix プリンタと AppleTalk プリンタへのアクセスを PAP 上で提供できます。
5.1 節にはもっと情報がありますのでご覧下さい。
Linux 用の T-1 と、 T-3 、 X.25 、フレームリレーの製品を 2 、3 の サードパーティーが供給しています。これらのタイプで接続するには特別な ハードウェアが一般的に必要です。そのハードウェアのベンダはプロトコルサポート 付きのドライバも供給します。
Linux のカーネルには組み込みの ISDN 機能があります。 isdn4linux で ISDN PC カードをコントロールして、 Hayes コマンドセット(``AT'' コマンド)のモデムの エミュレートができます。(組み込んだデバイスを使って) HDLC を介した接続での 端末プログラム利用から、PPP によるインターネットへの完全な接続、オーディオの アプリケーションまで、広い範囲のことができます。
Linux のカーネルには組み込みの PPP ( Point-to-Point-Protocol )と、 SLIP ( Serial Line IP ) 、 PLIP ( Parallel Line IP )のサポートがあります。 PPP は 個人が自分の ISP ( Internet Service Provider )へアクセスするのに一番よく 使われる方法です。 PLIP は2つのマシンをお金をかけずに接続できる方法です。 PLIP はパラレルポートと特殊ケーブルを使って 10kBps から 20kBps の速度が出ます。
Linux のカーネルには組み込みのアマチュア無線プロトコルのサポートがあります。
特に興味深いのは AX.25 のサポートです。 AX.25 プロトコルはコネクション型と コネクションレス型の両方の動作モードがあります。これだけでポイントツーポイント のリンクにしたり、これの上で TCP/IP と NetRom などの別のプロトコルを運ぶのに 使ったりします。
AX.25 は構造的には X.25 level 2 と同じですが、アマチュア無線環境に適するように いくつか拡張しています。
Linux での ATM のサポートは現状ではプリアルファの段階です。実験的なリリース があり、生のままでの ATM 接続( PVC と SVC )とか、 ATM 上での IP 、 LAN エミュレーションなどをサポートしています。